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日本酒好きなら知っておきたい基礎知識【中級編】

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日本酒についてこれだけは知っておきたい知識を楽しく学びましょう。今回は中級編です。

前回の初級編では日本酒の種類について学びました。今回は中級編ということで、日本酒の製造工程について学びましょう!これを知れば、いつも飲んでいる日本酒はこうやって作られているのか、と理解することができますよ!

■日本酒の製造工程

①精米

原料である玄米の表層部にはたんぱく質や脂質が含まれており、これは製造工程で酵母の働きを過剰にさせ、香味のバランスを悪くし、雑味が多い味わいになってしまいます。そのため、精米の工程で日本酒の製造に不必要な部分を削ります。

精米されたばかりの米は摩擦によって熱を帯びているため、米の中の水分も失われてしまいます。この不安定な状態を均一化するために2週間~3週間冷暗所で保管します。これを「枯らし」と言います。

②洗米

精米を終えると、次に、洗米という米を洗う作業が行われます。洗米により、白米の表面に残っている糖や削り残しの米くずを洗い流します。洗米時には1%~2%米が摩擦し、水分を吸収してしまいます。酒造りの原料となる水分の吸収率に影響が出てしまうため、吟醸酒などの水分の吸収率が品質に影響を及ぼすお酒の仕込みの際には、細心の注意を払って行われます。

③浸漬

浸漬は、米に水を吸わせる時間で品質が決まるとされているほど重要な工程です。必要な水分を米に吸収させることが浸漬の目的になります。

手順は、洗米を終えた白米を浸漬タンクに移し、新しい水に取り換えて必要な量を米に浸透させます。

浸漬用の水温は10℃~15℃が一般的です。水温が低いほど吸収が遅くなるため、大吟醸酒の製造には冷たい水を使用することで吸収させる水分の量をコントロールさせています。

④蒸米

日本酒の製造では米は炊くのではなく蒸されます。炊いてしまうと必要以上の水分を吸収してしまいます。蒸すことによって、水切りを終えて適度に水を吸収させた生米が過熱され、米のでんぷんをα化(糊化:糊状になること)し、最近が生産する糖化酵素の作用を受けやすくします。蒸すことにより出来上がった蒸米は手触りがよく、外側が固く、内側が柔らかいものが良いとされています、

⑤放冷

蒸米は麴米、酒母米、掛米として使用されます。れぞれ必要な量に分け、適度な温度まで冷やされます。昔ながらの外気で冷却する方法や、ベルトコンベアに乗せてファンで冷却する方法があります。

⑥麹造り

日本酒造りの工程で麴造りのことを「製麹(せいぎく)」といい、麹菌を蒸米に振りかけるという工程です。「一麹(いちこうじ)、二酛(にもと)、三造り(さんづくり)」と昔から言われるほど、「麹造り」と「酒母造り(酛:もと)」、醪(もろみ)を仕込む「造り」が日本酒造りには重要な工程だとされてきました。

製麹は蒸米にカビを繁殖させる作業になります。そのため、製麴を行う部屋である麹室を高温にする必要があります。この環境下で、製麴の完成にはおよそ48時間かかります。

⑦酒母造り

酒母造りには三段階の手順があります。

●第一段階

酒母造りは、アルコール発酵に必要な酵母を大量に培養することが目的です。酵母を培養するには蒸米、麹、水を合わせて200㎏程のタンクに投入します。酵母は糖分をアルコールと炭酸ガスに変えるアルコール発酵という働きをする微生物です。酵母を大量に培養しなければ日本酒は出来上がりません。酒母米をすりつぶしたものが「生酛仕込み」で、すりつぶさないものが「山廃仕込み」といわれます。

●第二段階

酒母造りは乳酸をどのような方法で得るかによって「速醸系酵母」と「生酛系酵母」に分けられます。

  • 速醸系酵母:始めに液体状の醸造用乳酸を加えて素早くタンク内を酸性にする方法
  • 生酛系酵母:蔵内に生息する乳酸菌を取り込み、繁殖させて乳酸を得る方法

●第三段階

酵母は近年様々な用途によって使い分けられています。新しい酵母の開発が進んでおり、アルコール度数の低い酒をつくる酵母や辛口の酒をつくる酵母など様々な特徴があります。

⑧もろみ

醪(もろみ)造りに必要な蒸米(掛米)、麹、水、酒母の投入は通常4日間で3回に分けて行われます。これを三段仕込みといい、3回に分けることで酵母を他の微生物から守る効果があります。そのため、酒母中は適度な酸性に保たれています。

しかし、大量の米や水を合わせると酸性が薄まり、他の微生物が繁殖しやすい環境となってしまうため、3回に分けられています。

醪造りには以下の4段階があります。

①初添え

醪造りの始めに、仕込みの1時間から3時間前に酒母、麹、水をタンクに入れておく作業を水麹と言います。次に蒸米を投入することを初添えと言います。初添えにより酒母が出来上がってから仕込みに用いるまでの期間に眠っている酵母を活性させ、増殖させます。

②踊り

初添えの翌日は1日何もせずに酵母の増殖を待ちます。この作業を踊りと言います。これは発行を始めた醪の泡が踊っているように見えることや、階段の踊り場で一休みすることが語源と言われています。

③中添え・留添え

踊りを行った翌日に麹と蒸米、水を投入することを中添えといい、その翌日に最後の麹と蒸米、水を入れる作業を留添えと言います。

④発酵

三段仕込みを行った後は、本格的な発酵が始まります。通常は留添えの1日目として数え、発酵の経過を確認します。ここから2週間~1か月かけて本格的な発酵(醸造)が始まります。

日本酒の発酵形態は「並行複発酵」とされ、この工程で糖化とアルコール発酵が同じタンク内で行われます。発酵の経過は泡の状態で確認できます。

⑨上槽

出来上がった醪を酒粕と液体に分けるために搾る工程を上槽といいます。上槽には様々な方法があります。

●槽による搾り

槽といわれる昔ながらの搾り機を使用した方法です。布でできた酒袋に醪を詰めて、上から重みをかけて搾ります。搾るときに始めに出てくる液体をあらばしりといい、香気が高いという特徴があります。

●袋吊りの搾り

醪を酒袋に入れ、首の部分を縛り上からぶら下げ、自然に滴り落ちる部分を集める方法を袋吊りや雫酒などといいます。いわゆる高級酒などに用いられる方法です。

●自動圧搾機による搾り

自動圧搾機は布で巻かれた板のようなものが連なり、その間に醪を入れて押していくと槽口から液体が出る方法です。

●滓引き

上槽後の液体には、細かくなった米や酵母などの小さな固形物が残っていて濁った状態になっています。この固形物を滓(かす)といい、しばらくするとこの滓が沈殿し2つの層に分かれます。タンクの下には呑穴という穴が2つついており、上の穴を上呑、下の穴を下呑といい、上呑の部分から酒を抽出する工程を滓引きといいます。

⑩濾過

滓引きの後に残っている細かい滓を完全に除去するために濾過(ろか)という工程を行います。濾過機を使って行われ、活性炭素を使用する場合もあります。また、脱色や香味の調整という目的もあります。

濾過をする前のお酒は黄色がかった色調のものが多いですが、濾過によって無色透明へと脱色し、余計な香味成分や異臭のもとになる成分や微生物を取り除くことができます。

⑪火入れ(1回目)

60℃~65℃の温度を30分保つことで酒内に入っている酵素の働きを止めることができます。酵素が残っているとデンプンを糖化させる作用が続くために、時間がたつと甘くなってしまいます。また、上槽後に繁殖しやすい火落ち菌を殺菌することもできます。火落ち菌は色調を白濁させたり、香味の異常を起こすために、低温で殺菌させます。上記の役割を持つ工程が火入れです。

⑫貯蔵(調合・割水)

火入れしたお酒は瓶に詰められるまではタンクの中で貯蔵されます。時間を置くとアルコールの分子と分子が融合し、まろやかな口当たりの酒質にすることができます。貯蔵に適した時期や温度管理を見極める必要があります。

●調合

貯蔵されるお酒はタンクごとに香味が違います。品質を一定化するために調合されます。この調合によって蔵元のコンセプトが決まるともいわれるため、熟練の職人により見極めて厳密に行われます。

●割水

割水は仕込み水を加えてアルコール度数を調整する工程です。酒質に合わせたアルコール度数や香味に調整され、通常の日本酒であれば15%前後で割水されます。

⑬火入れ(2回目)・瓶詰め

割水を終えると日本酒を瓶詰にして出荷されますが、直前にもう一度火入れ作業が行われます。2回目の火入れは、火入れ機能を持った瓶詰め機を使用する場合と、瓶詰後に60℃前後で湯煎する瓶燗方法があります。

■製造工程を変えて楽しむお酒

生酒

生酒(なまざけ)は火入れの加熱処理の工程を1度もしないで製造されたお酒です。加熱処理をしないので、搾りたてのフレッシュな香味を楽しめ、夏場の冷酒として楽しまれることが多くあります。生酒は火入れをしないため、濾過の工程が丁寧に行われており、酒質の変化を少なくして香味を保持して保存することができます。

新酒

新酒の定義は「製造年度内に作られた日本酒」と定められています。

日本酒の製造年度は7月1日から6月30日となっています。通常日本酒は米が収穫される10月から仕込みが始まり、翌年3月頃に出荷されます。仕込みから出荷まで年度内で完結するものを新酒と言います。

古酒

新酒は3月頃までに出荷されますが、蔵元で熟成させるために出荷を遅らせるものがあります。そのため、6月30日を超えて出荷されるものを古酒と言います。

※新酒と古酒の違い

色沢の違いは、新酒は透明なものが多く、古酒は琥珀色のような茶色っぽい色をしているものが多いです。

新酒は味わいがすっきりとした新鮮さがありますが、古酒は熟成が進んでいるためキャラメルのような甘さと濃厚さがあります。

熟成酒

熟成酒はマイナス5度の冷蔵庫で保管することで劣化が進まずきれいに熟成し、味わいは角が取れ非常に円熟で旨味が増した日本酒のことを言います。

※古酒と熟成酒の違い

古酒は1年以上貯蔵した清酒であるのに対し、熟成酒は満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒のことを指します。

また味わいにも違いがあり、古酒は原材料や製法は日本酒と同じですが、熟成によって味や香りをかなり変化させているので、まったく別の飲み物だと思っていいほどの違いがありますが、熟成酒は熟成により豊潤さを出しているものの、元の日本酒の酒質の延長線上にあるお酒のことを言います。

さらに色沢にも以下の違いがあります。

褐色系は、「古酒」
褐色系は、常温で熟成したもので、お酒の中の糖分とアミノ酸が豊富にあると温度の高まりによって化学変化が起こり褐変します。冷蔵設備がなかった昔ながらの古酒(ふるざけ)はその典型で、「古酒(こしゅ)」としています。

無色透明系は、「熟成酒」
無色透明系はなぜ褐変していないのかというと、色が付きにくい低温で熟成させたからです。近代的な冷蔵設備になってからのお酒で、「熟成酒」としています。

■まとめ

日本酒についての知識を楽しく学ぼう!【中級編】、いかがだったでしょうか?日本酒の製造工程をこの機会に学ぶことで、普段日本酒を呑む際に、あんな製造工程で日本酒は造られているんだ!と思いを馳せてみてはいかがでしょうか。次回はラスト、【上級編】です。ではまた!

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