日本酒好きなら知っておきたい基礎知識【入門編】
日本酒についてこれだけは知っておきたい知識を楽しく学んでいきましょう。今回は入門編です。
このブログが目に留まったそこのあなた!日本酒が好きだから、日本酒についての知識をもっと知りたい!と思っているのではないでしょうか。そこで今回はそもそもの日本酒の定義や、日本酒の材料などについて楽しく学んでいきましょう。今回は入門編です。
■そもそも日本酒って何?
日本酒の定義【酒税法による定義】
日本酒とは、米・麹(こうじ)・水を主な原料とする清酒です。日本特有の製法で製造されたもので、酒の3分類(醸造酒・蒸留酒・混成酒)では醸造酒にあたります。清酒とはアルコール度数が22度未満であり、かつ以下の3つの要件を満たしたものをいいます。
①米、米麹、水を原料として発酵させて、こしたもの
②米、米麹、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させてこしたもの(その原料の中において当該政令で定める物品の重量の合計が米(米麹を含む)の重量の100分の50を超えないものに限る)
③清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
アルコール度数が22度未満に定められているのは、ほとんど同じ原料である焼酎(度数25度前後)と区別する為だと考えられています。
日本酒の特徴
アルコール度数は15%~16%のものがほとんどですが、最近では若者などに向けて低アルコールの日本酒も開発・販売されています。
一般的に「燗してよし、冷やしてよし」といわれ、飲用温度が5℃~55℃と、非常に広いことで有名で、世界的に見ても珍しいお酒といわれています。
■日本酒に必要なお米の特徴
精米歩合とは?
精米歩合とは、精米が玄米から残った米の割合をパーセンテージで表したものです。また、玄米から表層部を削った米を精米といいます。
通常米を食事に使用する際の精米歩合は90%で、日本酒に使用する場合はより磨かれた状態の70%ほどで使用されます。
香りの変化
精米歩合によって日本酒の香りに変化が出ます。米に含まれる脂質には香りを抑制する効果があります。脂質は米の表層部にしかなく、表層を50%削ると脂質はなくなるといわれています。
味の変化
精米歩合は味わいにも変化を与えます。米の表層部にあるたんぱく質や脂質などの栄養素の量によって味わいが変化します。栄養素が多ければ雑味の原因となり、適量であればうまみのもとになります。精米歩合が高い日本酒は雑味がなく、すっきりとした味わいになります。反対に精米歩合が低い日本酒はコクがある芳醇な味わいになります。
酒造好適米の特徴
酒造好適米とは、日本酒を造ることを目的として作られたお米のことです。「酒米」は日本酒造りに用いられるお米のことを言い、一般枚が含まれることもあります。つまり、酒米の中に酒造好適米が含まれているという意味合いです。
酒造好適米の特徴は以下の3つが挙げられます。
①酒米は大きい
酒米は一般米と比較すると米の粒が大きい特徴があります。酒米は日本酒造りの工程で表面を削って精米する必要があるため、小さい粒の品種だと砕けてしまいます。
②心白(しんぱく)が占める割合が大きい
米の中心部には白い不透明の心白といわれる部分があります。心白にはたんぱく質が少なく、磨いても砕けることがない粘度で、酵母が発酵した醪(もろみ)によく溶けるという性質があります。この心白の占める割合が一般米よりも大きい特徴があります。
③醸造がしやすい
酒米は日本酒にしやすい醸造適性があります。お米を溶けやすくする蒸米吸収率が高く、お米が発酵してできる麹のつくりやすさなど日本酒を造る工程に適している特徴があります。
酒母・麹米・掛米
酒母:水、麹、酵母、乳酸を混ぜて培養したものです。酒母は日本酒のもとになり、発酵が進むと醪になります。
麹米:米麹のもとになる米のことを言います。日本酒造りに使われる米の2割ほどが麹米です。
掛米:醪を仕込むときに加えるお米のことです。日本酒造りに使われる米の7割ほどが掛米です。
代表的な酒米
●山田錦
日本酒の王様ともいわれる山田錦は、酒造好適米の中でも全国一の生産量で、全体の4割ほどを占めます。生産量の9割以上が、日本最大の酒どころといわれる兵庫県で生産されています。山田錦を使用したお酒は香味がよく、大吟醸酒や鑑評会に出品される日本酒にも、山田錦を原料として作られているものが多くあります。
●五百万石
五百万石は山田錦と並んで酒米の2大トップとしてよく知られています。米の生産量が全国で上位の新潟県で生産されています。五百万石を使用したお酒は、淡麗ですっきりとした味わいという特徴があります。
●美山錦
美山錦は昭和53年に長野県農事試験場で突然変異によって生まれた、比較的新しい品種の酒造好適米です。美山錦を使用したお酒は、五百万石に近いすっきりとした味わいになります。生産は長野県だけではなく、東北地方全体でも広く栽培されています。そのため、東北で造られるクリアな味わいの日本酒が多い傾向にあります。
●雄町
雄町は酒造好適米として最古参の品種として知られており、生産量トップを誇る山田錦や五百万石のルーツとなっているため、「現代の酒米の父」ともいわれています。栽培の難しさから生産量が減少し、一時は消滅の危機にありましたが、岡山県の酒造メーカーを中心としたグループによって栽培が復活され、生産量を増やしています。雄町は心白が球のように大きく、米が醪の中で溶けやすい特徴を持っています。雄町を使用したお酒は、山田錦よりもコクがあり、芳醇な味わいとなります。
●金紋錦
金紋錦は長野県で誕生した品種で、約20年間にわたって石川県の酒蔵・福光屋が全量買取による契約栽培で守ってきた酒米です。近年では長野県内の酒蔵で広く使用される酒米となり、復活を遂げたとして注目を浴びています。栽培が難しく、誕生した当初の技術では精米が難しいとされていました。金紋錦は、小規模な契約栽培で造られていることから価格も比較的高めであるため、付加価値を出すためにも高精白で香り高い吟醸酒として作られることが多いです。一方、金紋錦のもたらすコクは熟成にも向いています。
■日本酒に必要な水の特徴
日本酒の水は80%
日本酒の成分の80%は水で、おいしい日本酒造りには良い米と良い水が必要不可欠です。具体的には、日本酒造りで水が影響する場面は「洗米」です。精米された米を蒸米の前に洗いますが、米の表面が削られている場合には、洗米の際に米が水をたくさん吸収します。その水が良質な水でなければ、おいしい日本酒は造れないということです。河川の伏流水が使用されることも珍しくなく、砂でろ過されることにより、良質な水となります。
硬水と軟水で味が変わる
日本の地下水は硬度により「硬水」と「軟水」に分かれています。硬度は水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量を数値化したもので、私たちが日常で飲用している水は、種類により味が異なり、このどちらかに分類されています。
●硬水
硬水の特徴は、カルシウムとマグネシウムを多く含んでいるという点になります。硬水で造った日本酒の特徴としては、酸味が少し強く、キリっとした濃厚な辛口の日本酒になります。また、硬水のようにキリっとした力強いイメージに仕上がる日本酒を男酒といいます。
●軟水
日本の水はほとんどが軟水で、ミネラルが多すぎないため、胃腸が弱い方や、未成育の赤ちゃんでも安心して飲めるというのが特徴になります。軟水で造った日本酒の特徴そしては、柔らかみのあるまろやかできれいな味わいの日本酒になります。また軟水のように柔らかみのある軽い甘い味わいで造られた日本酒を女酒といいます。
■まとめ
日本酒についての知識を楽しく学ぼう!【入門編】、いかがだったでしょうか?そもそも日本酒とは何か答えられなかった方も、今回のブログを読んで答えられるようになったのではないでしょうか。次回は初級編です。またお会いしましょう!