日本酒好きなら知っておきたい基礎知識【初級編】
日本酒についてこれだけは知っておきたい知識を楽しく学びましょう。今回は初級編です。
前回の入門編では日本酒の定義や日本酒の材料について学びました。今回は初級編ということで、日本酒の種類について学んでいきましょう!これを読めば日本酒のラベルを見ただけで、どんな種類の日本酒なのか分かりますよ!
■日本酒の種類
清酒
清酒とは、簡単に言えば「水と米が原料の、にごっていないお酒」のことです。以前は、にごり酒などに対して「にごっておらず色が澄んでいる透明なお酒のこと」を清酒と呼んでいましたが、現在の酒税法上の規定では、下の条件を満たすお酒のことを清酒と呼ぶようになりました。そのため、にごり酒も清酒に分類されます。
- 原料:米、米麹、水および清酒かす、その他法令で定める物品を原料として発酵させてこしたもの
- アルコール度数:22度未満
清酒には必ず「こす」工程が必要です。この工程がない場合は清酒ではなくその他の醸造酒になります。
※日本酒と清酒の違い
日本酒と清酒は別の種類ではなく、どちらも同じ意味で使用されています。酒税法によると、先ほど紹介した規定を満たすお酒を「清酒」と呼びますが、一般的には「日本酒」といわれることがほとんどです。例えば、ワインでも酒税法上では「果実酒」に分類されますが、一般的には「ワイン」といわれています。
特定名称酒
●本醸造酒
本醸造酒とは、特定名称酒の1つで、精米歩合が70%以下の米・米麹・醸造アルコール・水を使用して造られるお酒のことを言います。また添加できる醸造アルコールの量は、使用するコメの10%までの重量です。
本醸造酒は純米酒に近い香りを持ちますが、純米より軽くすっきりした味わいが特徴です。米の甘みはありますが、醸造アルコールが添加されているため辛口のお酒に分類されます。飲み口が軽いため、冷酒ですっきりとした爽快感を味わってみるのがおすすめです。
- 原料:米、米麹、醸造アルコール、水
- 精米歩合:70%以下
- 香味及び色沢が良好なもの
※醸造アルコールとは
醸造アルコールは、サトウキビを原料に発酵させた純度の高いアルコールのことです。純度の高いアルコールのため合成アルコールは入っておらず、悪酔いや体調が悪くなる原因にはなりません。
※特定名称酒とは
本醸造酒・純米酒・吟醸酒のことを特定名称酒と言います。「清酒の製法品質表示基準」を満たす場合に限られています。
●特別本醸造酒
特別本醸造酒は名前の通り特別な製法で造られています。一般的な醸造酒に比べ、特別本醸造酒は精米歩合が60%以下となっています。米を多く磨くことで雑味が減り、すっきりした味わいになります。
- 原料:米、米麹、醸造アルコール、水
- 精米歩合:60%以下、または特別な製造方法
- 香味及び色沢が良好なもの
●吟醸酒
吟醸酒は特定名称酒の1つで、精米歩合が60%以下、香味や色沢が良好であること、また醸造造りという製法が用いられていることが条件です。
醸造造りを行った吟醸酒には「吟醸香」というほんのり甘くフルーティーで華やかな香りがあります。この「吟醸香」を発生させているのは、醸造造りだけでなく精米歩合にも深く関係しています。精米歩合を60%まで磨いた米の表面に含まれる脂質には、香りを抑制する作用があります。お米を磨くほど脂質成分が取り除かれて香りのいいお酒になります。このようなことから、日本酒に苦手意識のある方や若い女性にもお勧めです。
- 原料:米、米麹、醸造アルコール、水
- 精米歩合:60%以下
- 吟醸造りをしたもので、固有の香味や色沢が良好であること
※醸造造りとは
よく磨いたお酒を、10度前後の低温で1か月近い期間をかけて発酵させる方法のことです。低温発酵を行うことで、香り成分がもろみに閉じ込められフルーティーな味わいや香りを残すことができます。しかし、温度が低すぎると酵母や麹の活動が制限されてしまうため、品質の管理には十分に注意して行わなければいけません。
●大吟醸酒
大吟醸酒は吟醸酒と製法や原料は同じですが、精米歩合が50%以下のものを指します。米は磨けば磨くほど脂質が取り除かれるため、一層香りがよくなり雑味も少なくなります。
- 原料:米、米麹、醸造アルコール、水
- 精米歩合:50%以下
- 吟醸造りをしたもので、固有の香味及び色沢が良好なもの
●純米酒
純米酒とは醸造アルコールを添加せず、米と米麹、水のみで製造されるお酒のことを言います。精米歩合は60%以下と定められています。
醸造アルコールを添加していないため、米のうまみや味をダイレクトに感じることができる日本酒と言われています。お米の美味しさを感じられることができる分、お米の味はとても重要です。
- 原料:米、米麹、水
- 精米歩合:60%以下
- 香味及び色沢が良好なもの
●特別純米酒
特別純米酒は名前の通り特別な製法で作られています。しかし原料や精米歩合は純米酒と変えずに作ります。
- 原料:米、米麹、水
- 精米歩合:60%以下
- 香味及び色沢が良好なもの
●純米大吟醸酒
純米大吟醸酒は、醸造アルコールを添加せず、米と米麹、水のみで製造されるお酒のことを言います。純米酒との違いは、精米歩合が50%以下と低いことと、醸造造りを行っている点です。つまり、純米酒の原料で吟醸酒の製法を行って造ったお酒が純米大吟醸酒です。
味わいとしては、純米酒で感じることができるお米のうまみや甘みに加え、精米歩合を50%以下まで磨き、吟醸造りを行ったことでフルーティーで華やかな香りを感じることができます。純米と吟醸の特徴を引き出し、うまく調和したお酒が純米大吟醸ということになります。
純米大吟醸酒は製造工程が多いため、手間がかかります。そのため、コストが高くなり、市場では高級品として流通しています。
- 原料:米、米麹、水
- 精米歩合:50%以下
- 吟醸造りをしたもので、固有の香味及び色沢が良好なもの
●純米吟醸酒
純米吟醸酒も純米大吟醸酒も製造工程は同じですが、原料である米の精米歩合が純米吟醸酒は60%以下と異なります。
純米大吟醸酒はフルーティーさや華やかさが際立ったお酒であるのに対して、純米吟醸酒は主張しすぎないほんのりとした香りに芳醇な味わいが特徴です。
- 原料:米、米麹、水
- 精米歩合:60%以下
- 吟醸造りをしたもので、固有の香味及び色沢が良好なもの
普通酒
普通酒とは特定名称酒に含まれていないお酒のことを指します。普通酒の定義は特に決まっていませんが、以下のものが普通酒として扱われていることが多いです。
●酒米の総重量の10%以上の醸造アルコールが添加されている
●味わい、風味、香りなどを調整するために糖類や酸味料などを使用しており、米・米麹・醸造アルコール以外の原材料を使用している
スーパーに並んでいるパック酒、居酒屋で日本酒を頼んだ時に出てくるお酒などは普通酒とされています。酒屋さんでも特定名称酒のラベルがない日本酒は普通酒です。このように、思っている以上に私たちの生活に身近に浸透している日本酒のほとんどが普通酒とされています。
■まとめ
日本酒についての知識を楽しく学ぼう!【初級編】、いかがだったでしょうか?日本酒の種類をこの機会に学んで、普段呑む日本酒について理解を深めていきましょう。次回は中級編です。ではまた!